こんにちは。おんじゅく代表 のじま えみです。
先週末、松濤deクラシックvol.1「ふたりのフランツ」がお陰様で満員御礼、無事終演いたしました。
ご来場いただいた皆様、寒い中本当にありがとうございました。
このコンサートについて、企画への想いや感想などを書いてみたいと思います。
さて、今回取り上げた、一見対照的なふたりのフランツ(リストとシューベルト)ですが、実は共通点も多いのです。ベートーヴェンを尊敬していた、ハンガリーに縁がありハンガリー風の曲を書いている、目立ったオペラを残していない。そして、サロンで活躍していたというのも共通点のひとつです。飲み物を片手に、ピアノの周りを囲むように楽しむサロンコンサート。シューベルトが友人たちと共に行っていた私的な音楽会シューベルティアーデは有名ですし、リストにとっても、パリの社交界、貴婦人の催すサロンで成功したことが音楽界で生きていく第一歩となりました。今回もサロンコンサートというかたちで(@タカギクラヴィア松濤サロン)ふたりのフランツを取り上げることができたのは、感慨深いものがあります。
さて12月に入り寒さも深まる中、体調を崩されたという方も多いのではないでしょうか。公演準備にあたっては私も体調管理に苦労し、子ども達が風邪をひけば次は私が・・・というように、「大事な時期なのに!!」と何度か涙がちょちょぎれました(苦笑)頭痛と強いのどの痛みに朦朧となっていたときに思い出したのは、シューベルトのこと。今回プログラム冒頭に演奏した連弾曲は、彼の死の前年、強い頭痛など体調の最悪な時期に書かれたものなのです。命を落とす病ですから、風邪で苦しいのとは違う、大変な精神的・肉体的苦痛であったと想像します。そんな中で、あれほど哀愁と美しさをもった芸術作品がかけることに、心からすごいと思いました。(私の様な凡庸な人間は、頭痛がすれば思考がストップしてしまうので・・・)
さて、今回は知的なアイディアをどんどん提供してくれる藤本さんとのジョイントということで、私もたくさんの勉強をさせていただきました。「陰鬱な曲を弾いてくれ」と彼女からメールがきて笑ってしまったこともありましたが、その意見で取り入れた「悲しみのゴンドラ」(リスト作曲)は、今ではいちばん好きな曲のひとつになりました。リストは知れば知るほど、懐の深い良い人だったような気がしてなりません。リストは、著名人なだけに、バッシングもひどかったようです。超絶技巧で弾けば、あんなのは曲芸で芸術ではないと言われ、リストが創出した「交響詩」というジャンルについても、「恥知らずにも古典モデルを無視して、生まれ持った独創性と勘違いしている」なんていう辛辣な批判を受けたりしています。ですから私たちも、ヒトからなんやかや言われても気にしないことが大事だと思います(笑)リストは、アンチの人たちにぎゃふんと言わせたいという思いを常に持っていたのではないかな、そしてそれが「人がやっていないことをやろう」というチャレンジ精神の源になっていたのではと思います。今回の公演を経てリストをますます好きになり、これからも彼の作品に取り組んでいきたいとの思いを新たにしました。
最後に、寒さの厳しい中会場までお運びいただいたみなさまに感謝いたします。本当にありがとうございました。今後も精進してまいりますので、また次回公演にお越しいただけたら嬉しいです。
今日は公演の開催報告をさせていただきました。
それでは今日はこの辺で!!今日も素敵な音楽を奏でましょう♪